その後我に返って表題のような事を考えた、というお話です。
まあ、ぶっちゃけると「今、自分にとって必要なコンパクトカメラ」とは「今欲しいコンパクトカメラ」と(私の場合は)同義なので定義も何もあったものではないのですが、それを言っちゃうと「物欲」で全ての話が終わってしまいます。
なので。
いい機会ですから冷静に現状を見つめ直し、
「果たして私に○○は必要なのか?」
もしくは
「果たして複数台のカメラを持つ必要があるのか?」
あるいは
「なぜスマートフォンのカメラ機能では満足できないのか?」
等々を自問自答してみようというのが主旨となります。
まず、私のカメラに於けるスタンスといおうかスタイルというか、要求項目がたいして変化してません。
結論を先に書きますが「私に複数のカメラは必要だ」です。
じっくり考えましたが、一台で全てはやっぱりムリ。
なぜなら、私は次の条件を満たすカメラが必要だからです。
1)(換算)焦点距離が24mm~300mm程度をカバーできて、
2)ズーム全域で単焦点並の描写力があり、
3)ズーム全域で単焦点並みの明るさ(F値が1.8以下)があり、
4)ジャケットの胸ポケットに収まる程度のコンパクトさで
5)EVFがあり
6)チルト液晶があり
7)手振れ補正機能が(ちゃんと)働いて
8)被写界深度合成機能があり
9)マクロ撮影(センサに対して等倍撮影可能な事をマクロと規定します)が可能で
10)レンズバリア搭載で
11)せいぜい300g程度を上限とする
12)裸のまま水深数メートルで使用しても問題無く撮影出来る事
ふっ。
現代で上記要求を全て満たすカメラがあったら、それはすなわちオーパーツ。
ムリっすね。
なのでそれらの要求を複数台に分散させることが必要になるわけです。
具体的にはレンズ交換式カメラを別途使うことで、コンパクトカメラに対する要求水準を下方修正する、という事です。
まず、1)~3)は実のとことズームレンズではムリ。レンズ交換式カメラ+単焦点レンズでないと全てを満たせません。ズーム云々と書いてますが、レンズを交換できれば実際はズームである必要がありませんので。
また、4)、10)、11)、12)はレンズ交換式カメラでなくてOKです。むしろコンパクトの領域でしょう。
言い換えるなら、レンズ交換式カメラに5)、6)、8)、9)があれば、コンパクト側になくても補完が可能という考え方です。
ただ、どちらにせよ2016年の現代において7)が非搭載というのはナンセンス。この機能はもはや必須だと考えます。非搭載カメラはマニア向け、それも超マニア向けではないかと私は考えています。
クルマで言えば、「シンクロメッシュ機能のないクラッチ付きMT」、とでもいいましょうか。
私に言わせればイマドキ手ぶれ補正機能がついてないなんて、昭和時代後期の露出オート撮影がないマニュアルオンリーのカメラよりひどいと思います。
(ナルシスト系)マニア相手に一定の需要はあるでしょうが、一般的な支持はもはや得られないと思います。
自動車のマニュアル・トランスミッションは「切って」ATに出来るわけがないのでどうしようもないですが、手振れ補正機能については「切る」という選択肢があるのですから、「あって悪い機能ではない」はずです。搭載できないのはサイズやコストなどの理由によりプライオリティが低いと判断されたものなのでしょうが、企業はさらなる努力をして欲しいと思います。
ということで、現在、絶賛稼働中な「通勤カメラ」が、OLYMPUSのSTYLUS Tough TG-4というコンパクトカメラ。
これはですね、上記条件のうち、
4)ジャケットの胸ポケットに収まる程度のコンパクトさで
7)手振れ補正機能が(ちゃんと)働いて
8)被写界深度合成機能があり
9)マクロ撮影(センサに対して等倍撮影可能な事をマクロと規定します)が可能で
10)レンズバリア搭載で
11)せいぜい300g程度を上限とする
12)裸のまま水深数メートルで使用しても問題無く撮影出来る事
と、7項目を満たしているすげえカメラなんです。
TG-4一台あれば、相当「写真遊び」が出来てしまう、そんな超便利カメラ。
私が小学生の時にTG-4があれば、毎日がどれだけ楽しかっただろうなあ、と何度妄想したことか。
そういうわけで、TG-4は現在の手持ちのカメラでは稼働率がナンバーワンなのです。
じゃあもう、コンパクトカメラはTG-4で決まり。あとはレンズ交換式カメラがあればいいだけでしょ? と思うとさに非ず。
TG-4以上の機能を有しているカメラは現状存在しないと思っていますが、TG-4にも弱点はあるんです。
それが「画質」です。
いや、充分なんですよ?
なんか、昔を知っている私からすれば、TG-4の描写力に文句なんかないと言っても過言ではないんです。
でも、たまにフト思うんです。
「ハッとするような描写力を感じる写真が撮りたい」
って。
実の所、利便性と描写性を兼ね備えているコンパクトカメラは私の知る限り皆無です。
それは背反する要素だからです。
なので私はいつもブレてます。
「TG-4最高! こうこれ一台で普段はオッケー」
って考えているにもかかわらず、長くても半年くらいで
「描写力が……」
って無いものねだりをしちゃうわけですよね。
そんな時に手を出すのが大型センサーをもつ、描写力重視のコンパクトカメラなんです。
古いところではSIGMAのDP系とか、
LEICAのX2とか
Xとか、
富士フイルムのX100とかX100Tとか
SONYのRX1とかRX1Rとかです。
たまたま最近また「描写力が……」というタームに入ってきていた矢先に富士フイルムがX70を発表してしまい、「これじゃん!」と飛びついてしまったわけでして……。
だがしかし、「手振れ補正」が未登載。
ザけんじゃねーよ! って感じです。
手振れ補正機能を搭載できないだけなのに、搭載しないことが偉いようなプロパガンダを行っているところがフジの大嫌いなところなのですよね。まるで「ハイアマやプロ、上級者にとって、手振れ補正など外道。写真が美味くなりたいなら手振れ補正は敵」みたいな風潮を醸し出しているんです。
まあ、ここら辺もマニュアルトランスミッション至上主義者と似たような原理主義を感じて鼻白みますな。「好き」「嫌い」で語るならそれは好みなのでいいのですが、「MT=運転が上手い」「MT=上級向け」なんて本気で思っている人もいるから始末が悪いんですよね。MT原理主義者って運転下手な人が多いというのが私の体験に於ける結論なんですけどね。
F-1なんて大昔からすでにオートマですよ。その方が性能がいいので合理的なんです。好みとは別の話ですね。
手振れ補正機能だって合理性の話なのに「写真が美味くなりたいなら~」とか「ベテランなら手振れ補正がなくても大丈夫」とか言っている時点で合理的な考えができないか、無知なのかどちらかでしょうね。何度も書きますが「クルマのトランスミッションと違って、カメラの手振れ補正機能は嫌なら使わないという選択肢もある」んです。
いや、話が脱線しました。
X70に手振れ補正機能がついていれば、けっこうヒキのあるカメラになっていたと思うんですが、手振れ補正が搭載されていないとわかるととたんに色あせてみえるカメラでもあります。
だって「だったら(RICOHの)GRでよくね?」って思いませんか?
私の場合はまさにそうです。
だって、GRⅡを既に持っているわけですからX70を買い増す、あるいはGRⅡの代わりに買い替えるなんて選択肢は存在しません。
冷静に比較すればわかりますが、X70はGRⅡの劣化版にしかみえないんです(私視点です、あしからず)。
具体的に劣化部分を挙げると
1)デカイ
2)重い
3)レンズバリアがない
ですから。
これ、きわめて重要な3ポイントだと思うんです。
というわけで、久々にGRⅡが防湿庫の番人から一躍通勤鞄カメラに返り咲いた、というお話でした。
GRⅡが出た時、そのあまりにもGRとの差が無い事実に愕然としたものです。
メーカーにやる気がまったく感じられません。売れてないので商売的に仕方がないのでしょうけど、二年経ってキャリーオーバーモデルってさすがにスゲえな、とさえ思いました。
GRⅡでは多少大きくなってもPENTAXの手振れ補正機能を淹れてくるだろうと期待していた私は本当にガッカリしましたっけ。
でも、なんだかんだいって買い替えたところがGR好きな私の性なのかもしれません。
買い替えたはいいですけど、そのあまりに違わない操作感、むしろ上部が出っ張ってダサさがアップしたネガにより、すぐに使わなくなりました。
とは言え、GRは取りあえず手元に持って居たいカメラでもありますので、初代のGR Digitalからこっち、全てのGRシリーズを長きにわたって所有している私です。
GRはアレです。
いいカメラですし、描写も充分満足できるんですけど、長く付き合っているとイライラしてくるカメラでもあります。
それはまずは
1)手振れ補正機能が無い
という理由です。
TG-4なら(あるいは他のコンパクトなら)、これくらいの暗さ、手振れ補正機能でビシっと映るぞ?
なんて思う事が2回もあると「やっぱGRダメだな。手振れ補正機能あるカメラじゃないと使えねえ」って思っちゃうんですよね。
次に
2)AFがプア
という致命傷? もあります。
だいたいにおいて問題ない、あるいは我慢の範囲内に収まっているのですが、ここぞって時に合焦しないことが続くとまたダークゾーンに陥るんですよね。
「iPhoneでもちゃんと合うんだぞ、このタコ!」
ってな罵声と供に防湿庫に放り込まれるGR(とGRⅡ)でございます。
最後は
3)画角が狭い(28mm相当)
です。
私、できれば24mm相当がいいんです。
なので28mm相当のGR(GRⅡ)はちょっと望遠感がありまして……。
これも長くGRを使っていると「ああもう! もっと広くうつしたいんですけど!」とイライラしてくる始末。
まあ、そんなわけでTG-4(TG-3)、時々(思い出した様に)GR(GRⅡ)という交代劇を繰り返すのがここ数年の私のスタイルでございます。
GRのダメな点がわかっていても売り飛ばさずに防湿庫で冷や飯を食わせているのは、たまに使うと「いいカメラだなあ」って思っちゃうからなんですよね。
暗い場所には不向きなんだ、と思い込んでおけば手振れ補正は気になりませんし、AFも「所詮GRのAFだから」という広い心が存在している時には許容できちゃいますからね。そうなると「さすがGR(GRⅡ)。APS-Cセンサと専用単焦点レンズの組み合わせは凡百のコンパクトでは得られない画質だな」なんてうっとりしちゃうんですよね。
とまあ、そう言う感じで結論です。
「コンパクトカメラは複数台必要である」
次に「果たして私に○○は必要なのか?」という命題ですが、DMC-TX1は現状の私にまったく必要の無いカメラだという事がよくわかりましたので、こちらはキャンセルする事に決めました。
最後に「なぜスマートフォンのカメラ機能では満足できないのか?」ですが、これはもう使い勝手が悪い事と、あとは好みです。カメラの性能とかじゃなくて。
コンパクトカメラって、さっと撮りだしてぱっと撮りたいと私は思うんです。これがスマートフォンだと不可能。
ぱっと取り出すのは何とかいいとして、カメラにするのに手間がかかるわけですよ。スイッチ入れたらカメラになっているわけじゃないですからね。起動させてカメラモードを選択するのにワンクッション、ツークッション必要です。で、その後も薄い板だとカメラとしてちゃんと構えられません。タッチシャッターはいいとして、あらゆる操作がタッチパネルなのもちょっとムリ。サクっと撮影するツールとしてはまだまだ未完成と言わざるを得ません。
そもそもスマートフォンを構えて写真を撮っている図って私は写真を撮るスタイルとしては超かっこ悪いと思ってしまっているので、自分がスマートフォンを使って写真を撮るなんざ、死んでもヤだな、と思っております。
まあ、死ぬくらいなら撮るんですけどね。
とまあ、毎度毎度長いだけで、中味のないつまんない話でスミマセン。