V40 Cross Country T5 AWD(以下、V40CC)
XC60 T5 SE(以下、XC60)この三台に絞って商談を行いました。
実のところXC60 T6 AWD SEもチラっと考えたのですが、AWDの魅力を、以下のネガティブ要素が上回った格好です。
・価格帯が違う(高い)
・3リットルV6で、リッターあたり9kmという燃費はもう勘弁して欲しい。だってEVOQUEとおんなじだもの。というかEVOQUEと同じならかなり頑張っているだけどさ。
・パドルシフトがない
・税金が高すぎる
この3台のうち、GLAとV40CC当初の思惑では追い金無しでEVOQUEから乗り換えられると妄想していました。
が、必要(というか欲しい)装備をオプションついかしていくと、それぞれ結構なきんがくなり、さらに追い打ちをかけるようにEVOQUEの下取りが予想以上に低い事がわかり、結局追い金は必要だということでそれぞれの見積書を睨みながら再検討。
ここでGLAが落ちました。
理由は「とても500万円以上のクルマにには思えなかった」からです。
装備や質感などはいいのですが、走りが……。
GLAは現時点ではFFの180の方がいいと思いました。それもあまりオプションを付けずに割り切って素で乗るくるまなんだろうな、と。オプションが相対的に高すぎです。
なんというか、カタログデータのトルク感が実走行では全く感じられないのです。
ただのなんだか鈍重なクルマというだけの印象でした。高速道路や郊外路では印象が変わるのでしょうが、そもそも私がもっとも長い時間を過ごすのは市中徘徊ですから、そのモードで全く面白みを感じないクルマはチョイスできませんでした。
残る二台はどちらもVOLVO。
最初はGOLFのライバルとしてその存在感を確固たるものにしたと私が判断したV40とやらを見てみようという冷やかし気分だったのですが、V40にはCCというAWSモデルがある事をしり、ターゲットはそちらに。
冷やかしが候補に化けた瞬間でした。
V40もいいのですが、AWDのデザインはもっといい。
正直に言うと、V40CCには一目惚れでした。
「これだったら乗り換えたいなあ」と。
ただし、中身を知るに従って、うーん……という事になるわけです。
理由は装備です。
EVOQUEからの乗り換えなので、できれば同等の装備、ギミックが欲しいと考えるのは人情というものです。しかしEVOQUEとV40CCはそもそものクラスが違うクルマ。好きな言い回しではなのですが敢えて使うと「車格が違う」わけです。
なので同等の装備までは求めませんが、それでもいくつかどうしても気になる点がでてきました。
・パドルシフトがない
意外でした。もはやアタリマエの装備だと勝手に考えていたので、この値段でそれがオプションでさえ選べない車が存在する事に驚愕しました)
・フロントバンパーの左右下部に本来在るべきランプの代わりにクローム処理したプラスチックが貼られている
日本の法規制なのでしょうが、はっきり言ってかっこ悪すぎます。海外のビデオなどを見ているとここにポジションランプがあり、DRLとして使われてもいるようなのですが、日本のはいわゆるメッキパーツ。光を反射して輝きはしますが、なんともチープです。
・カメラがない
バックカメラはオプションで取り付けられますが、それだけ。今まで5個のカメラで360度モニタ出来ていた車に乗っていると不安で仕方アリマセン。いえ、それまでそんなものはなかったのですが、一度使うとイザと言うときには本当に助かるんですよ。私はEVOQUEでサラウンドカメラに数回助けられました。迷いこんだ見知らぬ土地で、細い路地に入り込んでしまい、バックなど不可能でトレッドギリギリと思われる欄干の存在しない橋を渡らねばならなかった時とか、そもそも車が通ってはいけないような路地裏に迷い込んで、曲がりきれないようなT字路を抜けるときとか。マジで「元は取ったな」とおもったものです。
・そこはかとなく漂う安物感
たとえば21世紀なのにいまだにボンネットの上にウィンドウォッシャーのノズルが付いてる、とかそういう些細なものです。あと、ドアミラーカバーがボディ同色じゃなくて黒い、とか。まあ、塗ればいいのですがボディと同色にはなりませんし、結構な金額になりますからねえ。
こうなると、目に付いてしまったそれらのネガを許容できるかどうか、という点に問題が移ってきました。
取りあえず勧められるままに試乗してみたら、車自体はかなり気に入りました。
そうこうして、ショールームに飾られたV40CCを見て悩んでいると、店内の置くにあるもう一台のSUVが目に留まりました。いや、存在は知ってたんですが、あまりに地味な佇まいなので記憶から飛んでたのですね。
そこにあったのがXC60でした。
第一印象は「なんて地味なSUVなんだ」です。
取りあえずアタマを冷やす目的も兼ねて地味子のそばに寄って見ると……。
すぐ近くで眺めたXC60に、私はピンと来る何かを感じました。それは今までのクルマ選びでは無かった感覚で、だからこそその感覚が何なのかを言葉にできないのですが、要するに興味が湧いたのです。それも、かなり強く。
展示車を色々と触らせてもらいながら、そもそもの要件を反芻します。
4ドア……VOLVOには4ドアしかないですね。だから○
自転車が2台乗るか? ……実はV40CCでさえ問題無く載る事はわかっていました。家から自転車持ってきて試乗車を使って実際に載せてみましたからね。で、目の前に広がるXC60のトランクをみれば、V40CCのようにわざわざ実車を家から持ってきて乗せてチェックするまでもなく完全に載る事はわかりました。しかも2台どころか6台は載りそうです。
しかもV40を「なーんちゃって」的にSUVにしたてたV40CCと違い、こちらはマトモな? SUVです。具体的には背が高い。V40CCより断然キャビンの上下が長い。つまり室内に窮屈感がない。屋根が低くないから乗り降りしやすい。大きいんだからアタリマエ。
でもそのアタリマエがとても気に入りました。
そこでカタログを見せていただきつつ値段交渉。
AWDは……高過ぎですね、パス。じゃあ、気乗りしないけどいちおうFFで……ほう、FFは燃費いいッスね……。
ああでもV40CCに比べたら相当お高いッスねえ……。え? サンルーフ付きはないんですかぁ。 ええ? テールゲートは手動ですか? マジ?
などと話をしつつ、こちらも是非、ということで試乗しました。ええ、FFモデルでしたが、スポーツサスの入ったモデルだとかで堅めです、と予め断りを入れられましたが……。
試乗したところ、確かに足回りはバタバタとしている感は否めません。というかEVOQUEのマグネライドになれすぎているせいで、何に乗ってもばたつく感覚な私ですから、覚悟は出来ているともいえます。というか、想定の範囲でした。EVOQUEのマグネライド付きに対抗できる車はそうそういないでしょうね。同価格帯には。
それよりも街乗りモードでのエンジンとトランスミッション(AT)のマナーが問題です。
で、こちらはV40CCよりも好印象。数値差以上にパワフルに感じましたし、ATは実にスムーズでした。
そもそも屋根がペタッとしたV40CCより乗降性とキャビンの居住性でかなりの差が付きます。スポーティな方がいいという人は当然いるのでしょうが、私は元来アップライトに座る事が好きですから、この時点で心はXC60に傾きました。
美味いいい方が思い浮かびませんが、キャビンでの「居心地」がXC60の方が相当いいんです。エコノミークラスとビジネスクラスの差、ほどはさすがに感じませんが、同じビジネスでもJALのハワイイ便のそれと、FINAIRのソレくらいの差はあると感じました。
あとは、FFを受け入れるかどうか。そして差額、つまり追い金はいくら必要か、という経済の問題があるだけです。
総支払額同士で2車を比較すると、150万円以上の開きがあります。
要するにV40CCならEVOQUEの下取りが低かろうが、少し足せばOKですが、CX60の場合、それがFFモデルであっても150万円以上追い金が必要だという事になります。
私はここでも考えました。
第一候補はXC60。というか、XC60になぜか惚れている自分に驚いている。でも予算を大幅にオーバーしているし、ここは諦めるべき。だとすると消去法でV40CCだけど、実はネガの部分を差し引いてもV40CCはカッコイイし乗ってみたい。
でも、第一候補は断然XC60だよね。何と言っても後席の居住性とトランクルームの広さ、使い勝手が素晴らしい。EVOQUEで不満だったトランクのユーティリティがXC60では完全に埋まっているどころかお釣りさえある。「こうだったらいいのに」と妄想した昨日がXC60には全てある……。
デザインは……
デザインは圧倒的にV40CC。明るくていつも笑顔でスポーツも得意の、クラスの人気者で男子にもモテモテ(死語?)の美少女。方やXCは三つ編みお下げでソバカスだらけ、オマケに瓶底メガネをかけた真面目で勉強はできる学級委員長といったところ。
うーむ困った……。
というか、マジで地味だなXC60。
ああでも待てよ……。
EVOQUEの乗り換えだと、かえって地味な方がいいかもしれない。だって「かっこ良さ」で選んだらEVOQUEに敵う車なんてないんだから。
EVOQUEとすれ違う度に「ああ、EVOQUEかっこいいなー」なんて思ってたらV40CCに失礼だし申し訳がない。
でもXC60なら全然そんな事思わない。
「EVOQUEかっこいいなあ。でもXC60はEVOQUEより便利で楽ちんだから大好きさ」
という感じで心穏やかに過ごせそうだ。
そう、ここは地味子を選ぶべし!
ということで、追い金については我が家のCEOの許可が降り、晴れてXC60を注文する事となりました。
納車待ち編に続く。