これで完成車に標準で付いてきたモノを含めると4セット目となります。
ロードレーサー購入後、2年で4セット目は多いのか少ないのかわかりませんが、少なくとも少なくはないだろうな、という自覚は少しだけあります。
少しだけ、です。
というか「何となく」と言い換えた方がいいかもしれません。
だって、余所様のところの事情なんてわかりませんからね。
天気(と気候)がいい週末に「その辺」を40km~50km程度走り、たまにイベントでロングライドを走る程度ですから、要するに大した距離を走っていません。
要するに「消耗したから買い替えた」という必然による変更ではないのです。
言ってみれば「走らないのに機材ばかり買い替えている」ような気がします。
なので、こうなるともう「これも機材スポーツの楽しみの一つだ」と開き直るしかありませんな。
実際、あれこれ考えている時って楽しいですからね。
それが趣味ってもんじゃないかな、と。
というわけで、新たに導入したホイールは、MAVICのUSTシリーズ。モデルはKsyrium Eliteです。
あまり引っ張らずに種明かしをしたのにはわけがあります。
もちろん私らしく? これから先がダラダラと長い「超長文だから」です。
「ふーん、キシエリか」で引き返していただく方はこの辺で納得していただけるのではないかと。
さて、MAVIC Ksyrium Elite。
アルミホイールの定番モデルですよね。
カンパニョロのZONDAやFulcrumのRacing 3あたりのライバルじゃないかと思います。
要するにミドルグレードのホイールです。
もっとも、定価もそうですが、実売価格だけを見るとZONDAやRacing 3あたりより一つ上のゾーンにいる気がしますが、まあ良く比べられるという点では同じカテゴリーではないかと。
今履いているのがFulcrumのRacing ZERO Carbon Clincher(長いので、以下RZCC)というホイール。
価格帯で行くとClincher系ではハイエンドの一群に属するホイールではないかと思います。
「RZCCを使っているのに、なんでまた下のクラスのホイールに乗り換えるの」
そんな疑問を持たれる方もいらっしゃるのでは?
正直に言いますと、かく言う私も「本当にRZCCからKsyrium Eliteに換えるの?」と自問した時期もありました。
「正気か?」と。
もちろん正気ですけどね。
さて、では私が「いかに」正気かを「以下に」書き連ねて行こうと思います。
★ただのキシエリではない
「今までのKsyrium Eliteとは違うのだよ、今までのKsyrium Eliteとは」
でございますね。
どう違うかというと、UST版です。
USTとは?
それはUniversal System Tubelessの略です。
「汎用性のあるチューブのないシステム」です。
あるのかないのかはっきりして欲しいですな。
要するにUST Ksyrium Eliteとは、カンパニョロやFulcrumで言う「チューブレス・レディ(ClincherもOK)」、ボントレガーでいう「TLR」なホイールだってことですね。まあ、本家ですからUSTはアチラの「チューブレス・レディ」や「TLR」より断然古い呼称なんですけど。
もちろんこのUST、MAVIC専用ではなく、従来の(というか現行の)チューブレスタイヤやホイールとも当然互換性があります。
既存のバイク用のチューブレスタイヤシステム自体、確かMAVICが前世紀に打ち出した規格だったと記憶していますが、だとするとMAVIC、今頃何言ってんだ、コイツ? みたいな感じですよね。
そう思ってニュースサイトなどの既述を読んだんですが、その辺りの疑問は「なるほどね」となんとなく理解出来る部分がありました。
「自分でブチ挙げたけど、実はMAVICは自分では(ロードでは)やっていなかった」
「今回、テクノロジーの進化と研究の深化により、作り出したモノが要求水準に達したので、遅ればせながらロードでもマジでやることにした」
みたいな?
つまり他社はやってたけど、本家であるMAVICはロードに関してチューブレス用ホイールとか全然用意してなかったんですね。いや、これは意外というか知りませんでした。ラインナップにないな、とは思ってたんですがまさか一度も(市販モデルを)作ってなかったとは。
USTについてご存じの方はご存じの通り、ご存じない方はMAVICのwebサイトで1999 UST発表とかの記事を検索して下さい。
あと、今回再? 参入したロードレーサー用のチューブレス(兼)用ホイールの新製品については下記ニュースサイトの記事をチェックしていただければいいのではないかと思います。
テクノロジーの進化や研究開発の深化もありますが、昨今の事情によりチューブレスタイヤシステムに追い風が吹いてきたからというのが実は真相かもしれませんね。
具体的には従来のロードレーサー用のホイールというのは、タイヤの細さに合わせて当然ながらリム幅も細かったんです。主流の23cというタイヤ用のリム幅が15mmでした。それだとビード部分が太いチューブレスタイヤには狭くて脱着しにくかったというわけです。それが23cよりも25Cや28Cという幅広タイヤの方が転がり抵抗などではアドバンテージがあり、コーナリングでもグリップ力で有利、かつエアボリュームによる振動吸収性も優れる等、科学的に解明された結果、プロがそちらへシフトして行った結果、多くのモデルがリム幅を15mmからワンサイズ広い17mmにとモデルチェンジして行きました。ボントレガーなどは一気に19.5mmとか2サイズアップです。
MAVICはこのタイミングを待っていたのでしょう。自社のリムもまずは17mm化をし、それをベースにいろいろやって「これならいける」と踏んで、大々的に参入宣言をした、と。
ということで、私はその記事で紹介されているMAVICの新製品に飛びついたというお話でございます。
★Fulcrum Racing ZERO Carbon Clincherのこと
前回、ホイールをミドルレンジのカンパニョロ・ZONDAから、ハイエンドのFulcrum Racing ZERO Carbon Clincherに買い替えた時の長い長い言い訳? についてはココ。
要約すると
「アクシウムからZONDAにかえてもあまり違いを感じなかったので、今度は違いを感じられるようなホイールに換えちゃうぞ」
というモチベーションが、アルミスポーク+カーボンリムというマテリアル全取っ替え? という蛮行に走らせたお話でした。
思えばその時の私はガキでした。
標準添付? のアクシウム/アクシオン23cからZONDA/コンチネンタル グランプリ4000 S2 25Cへの移行は、
「いいホイールにすると、楽に走れるに違いない」
という、願望というか妄想に駆られたリプレイスでした。
ZONDAに換えた程度では、妄想が妄想でしかないという「失敗感」というか「不満足感」に苛まれてしまったわけです。
なので「このままでは負けだ」なんて意味不明なモチベーションで「どうせなら(私のレベルでは)最上クラスのものを」ということで、選んだのFulcrumのRZCC。
「これでダメなら諦めも付く」という気持で買い替えたのでしたっけ。
結果としてRZCCは「それなりに良いホイール」でした。
ZONDAにかえても体感的にはまったくと言っていいほど変化がなかったので「風評? に騙された」感がありましたが、RZCCは「確かに私でも(違いが)わかる」程度の差が存在したのです。
具体的には「上りが(ちょっと)楽になった」というもの。
乗り心地も良くなったような気がしておりますが、本来ZONDAより乗り心地がよくなる物理的特性があるとも思えませんのでいわゆる「思い込み」のような気がします。
ただし、上りの踏み込み時には確かに差を感じました。
「お? なんとなくダイレクト感がある??」
みたいな?
ただし、平地での巡航では特に何も感じませんでした。
とは言えZONDAではなかった「違い」を感じ取る事ができたので、「ZONDAとは違うじゃん」「高いホイールだけの事はある」とムリヤリ納得させたおかげで満足していました。
あと、(リム組の)見た目がちょっとダサいというか子供っぽい(個人の感想です)ZONDAと比べるとRZCCは大人風味ですし、Carbonリムなので黒面積が大きくて全体に引き締まって見えてホイール単体としては気に入っておりました。
バイクとのマッチングがイマイチなのはまあ、バイクのフレームのデザイン&カラーリングの問題なのでRZCCに罪はありません。
それまで履いていたZONDAですが……。
実は買った値段よりなぜか高く売れてしまったので私の中ではもはや「ZONDA、良い子だったなあ」という印象に変化しております。
アクシウムとの違いがわからないようなホイールを自分で二度と履こうとは思いませんが、性能的にはともかく経済的にはお得なホイールだったことは確か。
というわけで経済的な理由ではなく、機能を気に入っていたFulcrumのRZCC。それも使いはじめてまだ三ヶ月も経っていないのに、なぜ今乗り換えようと思ったのか?
その辺をダラダラと長文で説明させていただこうかと。
★理由その1:カーボンリムと雨
Fulcrum RZCCで雨中走行する事を考えるだけでストレスです。
理由はリムが傷だらけになってボロボロになるからです。
まだ雨の中を走った事はありませんし、ボロボロになるのかどうかわかりませんが、ブレーキのシューブロックに砂粒が噛み込めば、それでリムがガギガギになるのは容易に想像出来ます。
お気に入りのRZCCのリムが砂粒でガギガギに鳴るのを想像すると、ゾッとして夜も眠れません。
なんというか、念願の新車、コンバーチブルのスポーツカー(まあ、マツダロードスターとしましょう)が納車されたんだけど、狭い青空駐車場での保管、あまつさえ両隣に粗忽なガキがいる子だくさんヤンキー家族のシャコタン的ミニバンが止まっている、という状況を想像してください。
そんな感じです。
つまり、カーボンホイールでリムブレーキである事がストレスになっていったのです。
いや、ホンマ。
★理由その2:カーボンリムと下り坂
我が家の週末ライドですけど、獲得標高がざっと1000mを越えます。
北摂の山あいなので上りもあるんですが、上ると下らないといけません。
上りも急だし、下りも急だっていうゾーンがけっこうあるんです。
私は上りが苦手ですが、下りは輪を掛けて苦手です。
そもそもスピードが怖いのであまり速度が出ないようにブレーキでこれでもかと速度を落として安全に下ることを心がけているわけですが、ブレーキレバーを握るたびにそれまでのアルミのホイールとは全く違うカーボンリムの音が響くのです。
最初の頃は「おお! カーボンリムはブレーキ音も違うんだなあ」なんてちょっと嬉しい気分でその音を聞いていたのですが、すぐに嬉しさが怖れに変化しました。
「こんなにブレーキかけ続けてたら、熱ですぐにカーボンがイカれちゃうんじゃ?」
「ああ、カーボンホイールを履くならディスクブレーキにすべきだった!」
こんな感じで、ブレーキをかけるたび、我が身が削られる気分に陥ってしまったのです。
いや、ホンマ。
★理由その3:CarbonリムとORBEA AVANT OMP
写真を撮りますね、バイクの。
名称とか峠とか休憩場所でバイクの写真を撮るのはまあ、サイクリストとしては普通の行為ではないかと思います。
で、毎回思うんです。
「ホイールが浮いている」
要するに似合ってないんです。
馬子にも衣装といいますが、私の愛車にはカーボンリムの真っ黒なホイールはどうにもミスマッチに思えてなりません。
なので写真を撮るたびに「うーむ。ある意味ZONDAの方がマシ」と感じておりました。
というか「アクシウム/アクシオンの組み合わせの新車時が一番マッチングが良かったなあ」と。
ZONDAのMEGA G3組のリアホイールもびっくりするくらい似合ってませんでしたが、RZCCもかわいそうになるくらい似合いません。これは写真を撮るたびに、取った写真を見る度にじわじわと心の澱としてよどんでいきました。
まあ、レース指向性ゼロのホビーライダーですから、見てくれについてとやかく言いたくなるのは人情ってことで。
そんなわけで、RZCCをリプレイスする事をずっと考えていました。
たぶん、使いはじめてすぐくらいからでしょう。
「これはアカンな」と。
そして「できれば夏休みまでに換えよう」と。
でもその時は「RZCCをリプレイスする」事が目的であって、クリンチャーのアルミホイールのどれにするかを考えておりました。
つまりチューブレスタイヤにする事はこの時点では考えていなかったのです。
★そんな時、一つの事件(というと大げさですが)が発生
朝練の一コマです。
同居人と一緒にはしっている私ですが、基本的に上りと下りはそれぞれマイペースで走っています。
最近は上りでは私がおいて行かれるようになりましたが、上りだと一応頂上あたりで後続を待つ、という感じです。
下りの場合はお互い慎重ですが、それでも私の方がペースが速いようで、こっちもそれぞれのルートで「待つ」場所がきまっているわけです。
で、先日の事。
下り終わった合流地点で同居人の到着を待っていました。
下ってくるところを撮影しようとコンパクトカメラを取りだして構えていたのですが……。
いつまで経っても現れません。
信号などありませんし、さすがにここまで離れるはずがないのです。
その時、私の頭の中を様々な想像が駆け巡りました。
まずは「落車」。
そしてその原因を想像するわけです。
真っ先に考えるのはクルマと絡む事故です。
次にライドミスによる自爆事故。
そしてパンクなどのメカトラブル系による事故。
結局、背中のpoachに入れていたスマートフォンにメッセージが数回と着信が入っていて、こちらからかけ直して状況把握ができたのですが、そのほんの短い間の恐怖ときたら、到底文字には表せません。
具体的には同居人が事故って大怪我をしているとう想像です。
実際として落車はしていませんでしたが、チト危ない状況ではありました。
下りで変速をした際にチェーンが外れてしまい、ディレイラーとクランクにガッツリと噛み込まれて外れず、四苦八苦していた模様。
「なんとか今はまったとこ。大丈夫」
ということでその後すぐに合流できたのですが……。
その時に思ったんですよ。
今回は大丈夫だったけど、これが下りのカーブでのパンクとかだったりしたらどうなっていただろうか?
対向車とかいたら? カーブ、しかも下りなのにムリに自転車を追い抜こうとするクルマも多いですし、そこへタイミング悪くパンクしたりしたらただの落車では済まされない重篤な事故になりかねません。
今回はチェーンの脱落で、自転車から降りた後に噛み込んでロックしたので落車しませんでしたが、こちらもチト心配ながら、パンクになった際のクリンチャーの脆弱さというものを改めて考える事になったわけです。
もちろん、クリンチャーのパンクの怖さは頭ではわかっています。チューブレス、チューブラー、クリンチャーと大きく分けて3種類あるバイク用のタイヤの中でも、パンクをした際に理論的にもっともヤバいのはクリンチャーだという事は。
ただし。
それはパンクをすれば、の話。
私は歴史的に見ても? パンクと縁がない人間です。少なくとも出先でパンクなどしません。
なのでクリンチャーだろうが何だろうがそもそもパンクしないんですからパンクしたらヤバいなんていうデメリットとはまったく無縁な存在なのです。
そう思っていた時期が私にもありました。
実は先日、同居人のバイクの後輪がパンクしておりました。
「しておりました」という微妙な言い回しを使っているのは「朝起きたらパンクしていた」系の話、つまり「事件(パンク)は家の中で起こった」から。
まあ、実際に家の中で起こったのかどうかは微妙ですが、少なくとも走行できないほどチューブから空気が抜けてしまったのは家の中での出来事です。
その後の事故調査委員会(私の事ですが)の綿密な調査により、PanasonicのR’Airというチューブのバルブの内部が破損した為、そこから空気が洩れたことが発覚しました。
なのでチューブを交換して対処し、その後のライドには影響しておりません。
まあ、交換したチューブに同じロット(予備を含めて同時に8本ほど購入)と思われるR’Airを使うのはどうなんだろう? と思わないでもありませんが、少なくとも私の2本と同居人のもう一本、予備ホイール1セットの2本の5本は今のところ大丈夫なので、レアケースかな、と判断しております。
話はたびたび脱線しております。
わかりやすいように私がいったい何を伝えたいのかをここで箇条書きにしてまとめておきましょう。
1)ヒルクライムからの下りコースで、すぐに追いついてくるはずの同居人がなかなか現れなかった
2)私は最悪の自体を考えてしまった
3)そのうちの一つのケースは「突然のパンクによる落車事故」であった
4)クリンチャーはその構造上、パンクをするとほぼ一瞬で空気圧がゼロになるという危険をはらんでいる事を思い出した
5)「パンクは都市伝説」ではないかもしれないと思い始める
↑
今ここ。
事故に繋がる要素をとにかく減らしたい。
それが私のサイクリング・スタイルです。
受光速度を上げたいとか、ヒルクライムのタイムを縮めようとかまったく考えておりません。
安全に楽しく走りたい。私が望むのはそれだけなのです。
その上で「ちょっとチャレンジしてプチ達成感を味わえたら嬉しいな」というスタンスです。
なので重要なのは「安全性」です。
特に自分自身よりも同居人に何かあったらと思うと心配で夜も眠れません。
私の葬式を出して欲しいですから。その逆はちょっと勘弁して欲しいという自分勝手な思いがありますので。
★実は去年、チューブレス化を真剣に考えていました
そんなわけで同じパンクのリスクがあるのなら、パンクをした時に安全な方式を選びたいなあ、とはずっと思っておりました。特に勾配が15%とかの下りでブレーキレバーを握り締めている時などは特に。
真剣に考えはじめたきっかけは、チューレスタイヤの雄、IRCがそれまでのチューブレスタイヤを一新、いろいろとパワーアップしたチューブレスタイヤにモデルチェンジしたというニュースを見たからです。
「新世代のチューブレスタイヤはけっこうイージーになっているようだ」というニュースに触れた私は「これはチューブレスタイヤに転向する格好の機会なのでは?」と考えたわけです。相変わらず単純なオツムです。
で、いろいろと情報収集を行ったのですが、結局、以前チューブレスタイヤを検討した時(ZONDAを買ったタイミング)に出した結論と同じところに落ち着きました。
「ホイールとの相性やホイールやタイヤ精度による微細な隙間などからの空気洩れというリスクは結局現物合わせになる」というものです。
★そしてMAVICがチューブレスタイヤ業界? に殴り込みをかけてきた
まあ、自分が立ち上げた自転車用チューブレスタイヤなので、殴り込みもないもんですが、ロードレーサー用にようやく、つまり本家が満を持して参入してきたという意味は実に大きいと考えました。
それからMAVICの事をご存じの方はご存じの通り、MAVICってホイールとタイヤの両方を作ってて、MAVICのホイールを買う=MAVICのタイヤも買う、つまりホイールとタイヤはセットでばら売りしてないという商品なのです(ホイール単体売りは手組用を除くとありません。ただしタイヤ単体では販売しております。アタリマエですが)。
「MAVIC商法」「抱き合わせホイール」などと揶揄されるMAVICのホイールですが、UST、つまりチューブレス化という事を考えるとこれはとてつもないメリットなのではないかと私は考えました。
つまり「トータル設計」のメリットです。
で、発表記事を読むとまさにそのメリットを前面に押し出したようなコンセプトでした。
「ここまでイージーに出来たから商品になると判断して(チューブレスシステムに)参入した」というわけです。
ここで少し時系列を追ってみましょう。
2017年6月17日 同居人の後輪がスローパンクチャーする
2017年6月18日 同居人が下りで追いついて来ない事件発生
2017年6月21日 webで「マヴィックが「UST(ユーエスティー)シリーズ」発表」の記事を発見する
こんな感じです。
ついでに書くと、
2017年6月24日 淡路島南淡部107km一周サイクリングを行う。その際下りでずっと「いまタイヤ(クリンチャー)が突然パンクしたら死ぬかも」と思いながら走っていた
という状況です。
つまりMAVICのこのロードレーサー用USTシステムの登場のタイミングが私にとっては実に運命的なものだったという事なのです。
だって思いだして下さい。
私はその前から別の理由で「ホイールを換えよう」と考えていたわけです。
そこへもってきてクリンチャーへの不信感、安全性の為のネガ潰しという思いが加わったタイミングにMAVICのロード用USTの発表です。
出ては消え、消えては出ていたチューブレスタイヤへの「思い」が、今度こそ結実する為の舞台が整ってしまったと言っていいでしょう。
★Ksyrium USTに決めた……が……
まあ即決というわけではなく、正直に白状しますと、それでも決断には数日の熟考を要しました。
理由は「どのホイールにするか」で悩んでおりました。
MAVICの発表では、ラインナップすべてにUSTを用意するとの事ですが、実際問題として入手できるのは、Ksyrium ProとKsyrium Eliteの2モデル。
で、私が悩んでいたのはProにするかEliteにするか、です。
両者の違いをMAVICを扱っているショップに聞いてみました。
答えは「スポークがアルミかステンレスかの違い。あとは一緒」
だそうで。
ネットをチェックしてみるとUSTではないProとEliteではハブが違うらしいですが、USTでは同じだという話。
ホンマかいな、と思いつつ。一応ここはショップの大将の言葉を信じてEliteかProのどちらにするかを考えました。
字面だけ見るとプロよりエリートの方が断然上位にあるようですが、実は価格的にはProの方が上です。まあ、アルミスポークはコストかかりますからね。あと軽量化にもなります。
じゃあ、ここはProで……と、以前の私だと「軽いから」という理由であまり考えずに上位モデルをチョイスしたに違いありません。しかし今の私は以前の「軽ければなんでも正儀」なんて思っていた私ではありません。あと、それなりに走り込んできて自分なりのスタイルがようやく理解出来てきたという背景もあって、単純にProを選ぶ事はしませんでした。
スポークの違いは重さ以外にもあります。
すなわち、
一般的にはアルミスポークは硬く、スチール(ステンレス)スポークは柔らかいという事になります。
硬いスポークはすなわちホイールの剛性を上げ、踏み込んだ時にホイールのタワミが少なくなり、つまり力が逃げずダイレクトな感触と相俟って速く走れる(ような気がする)。
柔らかいスポークだと剛性が低くなるので踏み込んだ際に力が逃げるような感じがしてあまり速く走れない(ような気がする)。
特に上り坂、つまりクライマーにはアルミスポークの支持者が多いようで、好まれているようです。
翻って私です。
ユーザーはwebでブログを書いているクライマーではなく、私(と同居人)です。
振り返ってみましょう。
というか、アルミスポークのFulcrum Racing ZERO Carbon Clincherというヒルクライマーが好みそうなホイールを履いてみて、それほどのメリットを感じたのか? という話ですよ。
ここで大枚はたいて買ったRZCCを使ったメリット、いや経験が活かされました。
ZONDAからRCZZに換えても「別に大したメリットにはなっていない」という事を実体験で経験しているからです。
そもそも体重は60kgそこそこ。そんでもって急坂になるとケイデンスは40かそこら。時速も5km/h台に落ちてしまうような比較的軽量な貧脚ライダーにとって、アルミスポークの剛性とかまったく関係してくるとは思えません。
それに、物理の法則を考えると、回転部分のもっとも外側にあるリム(まあ、実際にはタイヤなんですが、ここはホイール同士の話なので)が同一ならば、スポークの差による重さなど無視できるレベルだと思いませんか?
それよりもこれも物理的な問題として、アルミより振動吸収性が高いスチールの方が、真性貧脚ロングライダースにとってはメリットが大きいのです。
実際問題として振動吸収はタイヤがほとんどその役目を担うのだとしても、アルミとスチールでは無視できない剛性、弾性の差が存在するわけで、それにより吸収される振動エネルギーは100kmとか160kmになるとけっこうな差としてライダーにフィードバックされるに違いありません。
平たく書くと、多少なりとも疲労軽減に繋がるのはアルミではなくスチールスポークでしょう、と。
ここまで考えて、ようやく結論に達しました。
私が買うべきはProではなくEliteの方である、と。
それからこれはまったくの好みの問題ですが、ホイールのデザインというか「見てくれ」も個人的にProよりEliteの方が好みです。というかProはちょっと私の美学では「イケてない」んですよね。
具体的にはProは「スポークが一本だけ黄色」という、MAVIC的にはフランス風オシャレなセンスを出してきているわけですが、ヤンキーのメッシュ的髪型みたいでどうにも頭が悪い感じにしか見えません(個人の感想です)。
いや、Ksyrium Proをカッコいいと思っているユーザーを敵に回したいわけではなくて、全くもって「個人の感想」なのでお許しを。
ちなみにEliteの「色つきハブ」というセンスは私のこころの琴線に触れました。なのでマジで好みですね。
これがもし逆だったら、つまりEliteが一本だけ黄色スポーク仕様で、Proのハブが色つきだったとしたら、アルミスポークと価格差というネガティブ要素に目をつぶってProを選んでいたかというと、見なかった振りをしてそれでもEliteをチョイスしていたと思います。まあ、その程度のネガだということです。
これが以前の私だと論理的な部分より感性的な部分を重視して「軽い方」「デザインがいい方」「より高い方」を選んでいた気がしてなりません。そう思うとちょっと恥ずかしい気がします。
ま、それだけ今の自分を理解しているという事なのでしょう。
で、UST Ksyrium Eliteをチョイス。
ハブの色はMAVICなので迷わずイエローをチョイス。
★なぜMAVICなのか
すでに他メーカーからチューブレスタイヤが使えるホイールはたくさんでています。チューブレスタイヤも日本クオリティの定評ある製品があります。
それをチョイスすればいいじゃない? その方が特にホイールとしての選択肢が広がるでしょ? というお話になりますよね。
なのにMAVIC。
理由の一つは既に記した通りMAVICの特徴である「タイヤとホイールを同時設計するマッチングの良さ」が上げられます。
タイヤとホイールの段差などを含めたデザインを行うMAVICはこの「抱き合わせ販売」をはじめた頃から空力を考えていたわけです。好きなタイヤを履きたいのに最初からタイヤがついてくるという要らぬお世話的な見方もありますが、私はMAVICのこの考え方は好きでした。
もう一つはMAVICに対する個人的なイメージです。
これは同じフランスのタイヤメーカー、MICHELINについても同じイメージを持っています。
具体的にはそれは「ユニフォーミティーが非常に高いブランドである」というイメージです。
ここで言う「ユニフォーミティ」とは真円度、精度という意味合いです。
特にMICHELINのタイヤについては、いろいろと履き比べた経験、つまり実体験があり、それがイメージを補強しています。なので個人的にはクルマにはMICHELINのタイヤを買っておけば間違いない、と真面目に思っているくらい信頼感を持っています。
まあ、今はOEタイヤはコンチネンタルで、スタッドレスは入手性の問題があって東洋タイヤユーザーなんですが。
MAVICも自転車小僧だった頃からショップのオヤジさんやうるさがたの大人達から「MAVICのリムの精度は他者とくらべて一頭地を抜いている」なんて吹聴されていてそのイメージが強いんです。こちらは昔1セット、今のロードレーサーにOEでついてきた1セットの都合2セットしか知りませんが、OEでついてきたアクシウムホイールとアクシオンタイヤの重い組み合わせがZONDAとコンチネンタル・GP4000S2の組み合わせと比べても私にはその違いがわからないほど、つまりクラス以上の完成度を持っていた事もあって、いいイメージしかありません。
まあ、奇しくもどちらもフランスのメーカーですが、私は別にフランス好きじゃありません。念の為。
★実走インプレッション
いや、まだ走ってません。すみません。(・∀・)
まあ、預言しておきますが、コレまで使っていたFulcrum Racing ZERO Carbon ClincherとContinental GP4000S2の組み合わせと比べても「すごい! こんなに違うんだ!」なんてことには絶対ならないだろうな、とは予想しております。
だって私、ニブいんで。