以前も書きましたが、具体的には
1)AWDモデルは通常モデルの在庫がなく、R-DESIGNから選ぶ必要があった。
2)R-DESIGNとFFでは、そもそも価格が違いすぎる
3)試乗車がFFのR-DESIGNだったが、R-DESIGNモデルはちょっとした町乗りでも突き上げが強く、私には乗り心地に洗練度がなくイマイチと感じたため、性能や装備には魅力を感じたが、ノーマルタイプの方が好ましかった。
4)燃費の悪いクルマ(具体的にはJC08で二桁いかないモデル)はもういいかな、と思うようになってきた。
5)ちょっとあこがれていたAWDに1年乗ってみて、私の地域、用途にはAWDは不必要。ベターだけどマストではない事がよくわかった。
6)というか、実はVOLVOの新型エンジンDRIVE-Eとこれまた新型アイシンAWの8ATの組み合わせが生む、「充分なパワーとトルク」「高燃費」といううたい文句に興味があった。
そう言うわけで、エンジンのドライバビリティや8ATのマナーなどと並んで、「実際の所、燃費はどうなの?」っていう興味を満たすべく、納車一週間後に関東へロングドライブを敢行しました。
もちろんただ燃費計測をするためにガソリン燃やして高速代払うなんていう不毛な事はしません。
はじめたばかりのダムカード収集をしーの、連休明けにヨコハマで仕事がある同居人を送りーの、関東にいる友人と会いーの、という目的を持って行ったわけでございます。
で、問題の高速燃費ですが、結論としては望外の高燃費を叩き出してくれました。
ちなみに地味子ことXC60のJC08のカタログデータは、13.6km/lとなっております。
私が知っているのはいわゆる「10モード」とか「10/15モード」で、最近表記されているJC08とはなんぞや? と思ったので調べてみました。
なるほど。
「暖気された状態だけのテストからコールドスタートも含め(それでも全体の25%らしい)、最高速も上げ、測定時間も二倍に増やしてみました。結果として10/15モードより1-2割低下するみたいです」という事らしいですね。
計測はシャーシダイナモでパターン一定、ということなので、最近のカタログデータの謎が一つ解決しました。
MTが設定されているクルマって、ATの方が燃費が良いんですよね。
これは「日本のメーカーはJC08データをよくするためにATのプログラムをJC08用に設定しているから」でしょうね。勝手な推測ですが、日本のメーカーならこれぐらいやっている事は間違いないでしょう。実際のドライバビリティじゃなくてJC08の成績を良くするためのプログラムですからね。こんな事例を考えると日本車を買う気が失せます。
輸入車はコールドスタートあたりまえ(暖気運転なんてするのは日本人だけでしょうね。暖機運転より暖気走行でございましょうに)ですし、10/15モードからJC08に変わっても国産と違ってさほど落ち込みがなかった謎もちょっと解けました。
でも、改めて思いますが、それでもまだ実際の燃費とはかけ離れてますな、マジで。全部コールドスタートですべきでしょうし、テストもパターンを3つほど作って、Aパターン○○、Bパターン○○、Cパターン○○とそれぞれの燃費を併記した方がいいんじゃないですかね。そうなればATもJCモードを当て込んだプログラムにしにくくなるでしょうし。
とまあ、街中徘徊走行の実際の燃費とJC08モードとの乖離の大きさはおいといて、高速走行燃費は、輸入車の場合、経験上間違いなくカタログデータより上を行くわけです(たぶん国産車もそうだと思いますが)。
JC08が9.0というガスガズラー認定燃費のEVOQUEでさえ、おとなしく走っていれば12~13km/lの値を叩き出します。言い換えると巡航しないと燃費はかなり悪いクルマだという事です。
翻って地味子ことXC60 T5 SE。
2.0リッターターボ、トルクコンバータ付きのトランスミッション、245psと、EVOQUEのそれとほとんど同じ構成です。
ちなみに車重はFFのXC60の方がAWDのEVOQUEより子供一人分重いです。
JC08データは13.6km/lという、EVOQUEに乗っている私としては「マジ? なんでそんなに違うの?」と思うくらい良いデータを叩き出すわけです。
性格の悪い私は「アイシンAWとデンソーのコラボだし、JC08モード稼ぐ為のATプログラム入れてるんじゃないの?」 なんて疑うわけですね、ハイ。
EVOQUEのデータを元に期待値を求めると、17~19km/lという値になるわけですが、さすがにそれはないでしょう。
つまりEVOQUEのトランスミッションはXC60のそれより非効率的だというだけのはなしです。
トップギアで巡航する場合、そのエンジンとトランスミッションの持つ効率は高くなりますから、良い値がでて当然、JC08にアンマッチなEVOQUEは燃費がアレだけど、新しいVOLVOの8ATは効率の世代が違いますよ、と。なのでJC08でもびくともしない値が出る、と。
実際はともかくとして。
さて、ゴタクはこれくらいにして結果を。
・往路【大阪(吹田)→静岡(御殿場)】
16.0km/l (主に走行車線をACCでクルージング)
※数値は車載コンピュータによるもの。満タン法計測はなし
・復路【東京(横浜町田)→大阪(吹田)】の復路の平均燃費
14.8km/l (追い越し車線を積極的に使用して走行車線のクルマをパスするペースをACCでキープしつつ走行。ちなみに設定速度はオービスには全然余裕でつかまらないものの、走行車線のクルマよりは高めの速度をキープ)
※数値は車載コンピュータによるもの。満タン法では15.47km/l
往路の写真は撮れませんでしたが、復路はインターチェンジを降りていつものガソリンスタンドの近くの信号待ちで思い出し、なんとか撮影しました。
ちなみに復路のペースは、普段の私では絶対やらないペースです。あまり飛ばして走るタイプではなく、通常は往路のペースです。
帰路(復路)は台風19号接近の影響でけっこうな風の中を走りました。一部では制限速度をキープしていてなお、ワイパーをハイスピードにしても対応不能なエリアもありました(地味子はウインドウに撥水コーティングをした直後だったので、視界は全く問題無し)。
つまり、言い換えると渋滞を除くと、復路の燃費データは高速走行では最悪のデータだということです。
要するに地味子の高速燃費はこれ以上は確実に出るわけで、それはEVOQUEの燃費走行ですら不可能な数値にだということで、燃費についての満足度は非常に高いものとなりました。
ちなみに以前乗っていたEVOQUEだと、このペースで走ると間違いなく10km/lには届きません。
※注:なお2014年から導入された9ATを搭載するEVOQUEは、2013年以前のモデルより燃費は相当改善されているので8ATのXC60と同等のデータは出ると思われます。
一部の乗用車流用ボディのモデルを除き、SUVはCD値はよくありません。背も高く、つまり前面投影面積が大きいわけですから空力なんて最悪の部類でしょう。それを考えるとこのVOLVOの新型エンジンとアイシンAWのトランスミッションの組み合わせは相当頑張ってるな、と思いました。
問題は普段の走行パターンでどうなの? という事なのですが、これについてはまだ納車されたばかりでデータが取れていません。大まかな観察では、たぶん最低でも8.0km/lは期待できるのではないかと思っていますので、それだけでもEVOQUEに比べて30%以上良いわけですが、9.0km/lを期待したいところです。
ちなみに2014年モデルのEVOQUEは短い期間ではありましたがざっとチェックしたところでは7.8km/lという(私の2013年もでると比べて)素晴らしい数値を叩き出してくれていたので、最低でもそれ以上は期待したいところです。結果はまた後日に。
そうそう、最後に一つ。
今回はほとんどACCを入れっぱなしで、SAやジャンクション、出口などで解除しただけの「ACCに任せっぱなし」での走行でした。
つまり、上手な人間が介入すれば燃費はさらに伸びるということになります。
もちろん下手くそが運転すると余計に燃料を使う事になります。