(初出:2012/10/21)
フッティルーテン(HURTIGRUTEN)初日の晩餐。
レストランはメインダイニング的な場所で、朝・昼・夜の三色とも同じ場所を使用。
クルーズ客は全食事込みなのが船旅の面倒が無くていいところ。
他の豪華クルーズには、一日二回のデザートやアフタヌーンティ込みのものもあるようですが、ここはフッティルーテン。豪華クルーズではないのでこれでも上々。
テーブルクロスは滑落防止の表面処理がされていて「さすがスイッチ」ならぬ「さすが船のレストラン」といったところ。
触らないとわからない程度なのでチープ感もなく、というか相当に暗いのでそう言うアラも見えにくいわけですが。
ちなみにどのくらい暗いかというと、八人掛けの丸テーブルの対面に座った昔日の少女の目元の皺などまったく見えない程度です。
もしくは笑っても歯についた青ネギがわからないレベル。
いえ、誰も青ネギを歯に付けてはいませんでしたが、明るいところだと口紅が一部付いている人が居たり居なかったりするわけで。(・ω・)
閑話休題。
テーブルセットはこんな感じで簡素。
特に初日の晩は「ウェルカム・ブッフェ」ということでブッフェスタイルなのでこういう感じで予め用意されているのは大振りのグラスとパン皿。それにワンセットのナイフ&フォーク。そして紙ナプキン。
リネンを選択して使い回すコストより断然紙ナプキンを使い捨てるコストの方が安いのでしょうね。高級なレストランでもこういうスタイルが増えているような気がします。
秋、ということで紅葉をあしらったこの紙ナプキンですが、綺麗で気に入りました。かなり厚手で上等。
私の場合は厳しい母上の鉄拳教育のたまもので、こういう席ではせいぜい膝の上でパン屑あたりを受け止める役しかないので何度も使い回せそうでもったいないなあ、と思いつつもさりとて持って帰るほどでもなく、まあプチ豪華感を味わう感じ?
ブッフェの内容はまあまあといったところでした。
リピーターの話では「いいのは初日だけよ」という意味深な……。
ちょっと撮り忘れた皿があるので当日食べた全てではありませんが、メインはローストビーフにしました。
グレービーソースに食指が動かず、マスタードソースを探したのですが存在せず。同居人が個装マスタードの小袋のヤマを発見したのでそれを使いました。
ブロッコリーは茹ですぎでグズグズ。(・∀・)
ブロッコリーは茹でるなよ! 蒸せよ! なんなら私に蒸させろ!
的な文句はもちろん口には出さず、一番まともそうに見えたパンであるところのガーリックトーストが想像とは相当違った味であった事にカルチャーショックなど受けつつもなかなか楽しいお食事でした。
ちなみにローストビーフは私が今まで食した中でも上位に位置する出来映えで、配合飼料重視ではなく、ちゃんと草をエサにしたビーフの味がしました。(日本人好みではないかもしれませんが)
で。
肝心のビールです。
肝心かどうかは人それぞれですが、まあそう言う事でツッコミはなしの方向で一つ。
まあ、これがなんというか……。
まずくないけど、全然うまくない!
スーパードライなどと比べるとさすがにかわいそうだけど、もう少しレベルの高いのはないのかいな? と言いたくなるレベル。
ちなみにビールの種類は二種類。
「どんな銘柄?」
と尋ねると
「生ビールと、瓶ビールよ」
と、にっこり笑うごっついウェイトレスのお嬢さん。
「銘柄と種類は違うのだよ、ヒス君」、などと口に出せない私は初日は生ビールとやらを頼んだわけで。
後できくと同じ銘柄の生ビールと瓶ビールだそうな。
ちなみに、食事と水はクルーズ代に含まれますが、ビールなどのアルコール飲料は別腹……じゃなくて別払い(別料金)です。
生産は一杯ごとに注文時に例のIDカードをウェイトレスさんに渡すと、ビールと共にシートを持ってきてサインをし、控えをもらう支払いスタイルです。
ちなみにRINGNESの生ビールは4deciliter(デシリットルですと!(・∀・))でざっと900円。瓶ビール(RINGNESのピルスナー)は750円といったところ。
デザートはフルーツ類と数種類のケーキ。
初日ということで味見を兼ねて三つほどをさらに入れてきました。
ええ、想像はしていましたが、食べて後悔。
「甘ーーーーーーーーーーっ!」
甘いの好きなんですが、ガイコクのこの手のって暴力的な甘さのものが時々あって、まさにそれ。
ノルウェイのヒトは甘い物が好きだとは聞いてましたが。
なお、右側のはレアチーズケーキなのですが、これは甘いんですが絶品でした。
ブッフェで残すのはよほどの事がないとしないのが正儀なので全部食べました。
甘さでもう満腹といったところです。
で、最後の皿は珍しくカラントがあったので思わずとってきてしまったという図。
さすが冷涼な北欧といったところ。
もっともこれはデザートではなくて、いろんな料理の飾りとしてふんだんに使われていたもの。
たぶんノルウェイの人も生食はしないと思われますが、日本では、とくに関西ではほとんど店先でお目にかかれないのでつい魔がさしたというか。
ええ、酸味が強くて、かつコイツはえぐみも相当あって一粒で白旗をあげてしまいました。
「飾ってるの全部とってきて、持って帰ってジャムにしてー」と思いつつもそう言うわけにも行かず、さりとてこのまま捨てて帰るのもポリシーに反すると思っていると同じテーブルの人が私のカラントに興味津々。
私は内心ニヤリと笑ったのは言うまでもありません。
「それはなんですか?」
と。
(来た来た来た−)
「カラントですよ。味見しますか?」
などとにっこりと微笑んでお皿を差し出すと、皆興味深げにとって味わうではありませんか。
(馬鹿め)
などとは全く思わず、助かったと思う私。
「うわっ、何これ?」
口に出す人、顔に出す人、それぞれですが要するに「コイツは食えない」というコンセンサスが私のテーブルではとられたわけで。
なので。
残したまま終了しても「コイツ、残しやがって」的な嘲りからはとりあえず逃れられたわけですよ、皆さん。(・∀・)
しかし、大きなどんでん返しが。
「あ、イケるイケる」
私の皿を最後に受け取った人はそう言うと続けて二つ三つとってさらに口に放り込むではありませんか。
「ええっ?」
異口同音に驚きの声を上げるコンセンサスが取れたはずの我がテーブルの面々。
「まじ?」
私は隣の同居人に尋ねました。
「まじ」
同居人はにっこり笑ってそう言うとカラントの載った皿を少し持ち上げて
「これ、もらってもいい?」
いまだに底の知れない同居人の嗜好に驚かされる私でした。
アルコールが別料金だという話のついでに珈琲の件。
基本的には珈琲も別料金です。
ただし、朝食の際と、夕食後は別。
朝食はブッフェで、その際レストラン内ではサーバから好きに珈琲が飲めるシステムです。つまり料金の内。
夕食はテーブルで頼むと別料金となっていますが、レストランを出て、ラウンジに行けば時間制限がありますが、同じくサーバから自由に珈琲を注いで飲めるようになっています。(夜一〇時頃まで)
これはまあ、基本的にコース料理の夕食の場合、全乗客を一度に座らせるほどのテーブルはなく、つまりはレストランを回転させる為に食後、テーブルから早めに立ち上がらせる為の方策ではないかと邪推してみました。
まあそういう前置きは文字通り置いといて、この写真のカップをご覧あれ。
塗装してあるので素材が不明ですが、これはアルミ製。
しかも一応中空で保温機能付き。
蓋はプラで、飲み口にはレバー式の開閉ロジックがついてます。
で、何?
ということになるわけですが、これは言ってみれば「珈琲パス」ともいえるもので、このカップを買っておけば、二四時間、どこでも(どこの店の珈琲売り場というかサーバーでも)珈琲飲み放題になるというもの。
もちろん買っただけでは駄目で、これに珈琲を淹れて飲む限り、という意味です。まあ、見せる為のパスであることには違いありません。
事前にこのシステムを知っていたので乗船後、すぐに購入しました。
お値段は一つ(というか、まあ一人?)3600円程度。
有料の珈琲を一杯頼むと600円程度しますので、まあ六杯飲めばモトはとれて、カップがお土産に付いてくる、という寸法です。
ご覧のようにフッティルーテンのマークとlogotype以外に、船の名前も印刷されてます。
フィンマルケン号なのでフィンマルケン、と。
つまりどういう事かというと
「コプンプリート・アイテムかっ!」
という商魂が見え隠れ。
フッティルーテンファンはCOMPLETEしているに違いない。
私達にはできないけど。
色とか、違うのかなあ、などとコンプリート欲はフツフツと湧き上がるのですが、まあそれはそれとしてわが家は微妙なお土産をさっそくお揃いで二つゲットですよ。(・∀・)
あ。
忘れてましたが珈琲の味。
「最低」
ちなみにネルソン・ピケの自家用ジェット機はサイテーションです。(意味不明)
そして初めての朝食。
アタリマエのようにブッフェスタイルです。
レストランのテーブル(というか座席)は、基本的に一日目の夜に指定されたものでfixです。
例外は朝食で、朝食のみ好きな座席でOK。
昼食と夕食は指定席、という仕組みです。
まあ、大人(お金ともいう)の事情でテーブル位置は決まっていそうでした。
で、朝食ブッフェはいつもの通り、上下にスパっと切断できるパン(丸パンがなかった)とハム系、チーズ系、その他という具合。
私がいつもやっているのはドイツ人旅行者風のお行儀の悪い即席サンド。
こんな感じ。
しょっぱいスライスハムやスライスサラミとチーズに、蜂蜜やジャムがよく合うんです。
最初にオレンジジュースかアップルジュースを飲んでサンドウィッチを食べた後、フルーツとヨーグルトかけシリアルで締めて、珈琲という感じ。
そうそう。
ここのゆで卵は二種類あって、半熟と固ゆで。
もちろん半熟をチョイス。
エッグスタンドは卵が入ったチェーファーの隣においてあって、まあ、当然ながらプラでした。