とは言え、「びわ湖一周」と並んで関西在住サイクリストにとって「淡路島一周」は「いつかは成し遂げなければならない」ものなのです(たぶん)。
もちろん私も関西在住サイクリストの端くれ(本当に端くれですが)。淡路島一周ロングライドは「いつかはやり遂げてやる」という目標の一つなのは確かなのです。
そう、「そのうち。いつか」は。
だがしかし。
その「いつか」は唐突にやってきました。
どれくらい唐突かというと、先週の月曜日。
いつものように早朝五時に目が覚めた私に、淡路島の神様が舞い降りてきました。
「お前、淡路島一周しなよ。待ってるから」
「え?」
目が覚めた瞬間の出来事だったので、誰が待っているのかはわかりませんが、どうやら神様的な何かが私を淡路島に誘った事だけはわかりました。
まあ、淡路島といえば日本の創世神話における「最初の島」とも言われております。伊弉諾(イザナギ)・伊弉冉(イザナミ)の二柱の神話のアレです。
要するにあのへんの神様から呼ばれたような気がしたわけですよ。
「アワイチか……」
幻か現かわかりませんが、スピリチュアルなセカイに足を踏み入れるのはアレですが、淡路島一周といえば「いつか」は成し遂げなければならない目標なのは事実。そしてその「いつか」がいつなのかはわからないまでも、「取りあえずどんなものか、試しに走ってみるか」という気になっていったわけでございます。
要するに軽いノリですね。
意訳すると「しんどかったら即リタイアするもんね」的なノリです。
とは言え、勝算がないわけではありません。
なぜなら、私には先月の9月20日に行われた「ツール・ド・西美濃」を完走したという実績があります。
実績だなんてエラそうな事を書いてますが、要するにちょっとした自信が芽生えてきていたという事ですね。
いえ、サイクリストとしてはマジで実力は底辺です。かつての経験があるので理論派ではありますが、今の実力は実践経験がプアすぎるのと、体力がマジでないので女性の初心者よりレベルが低いと思って間違いありません。
つまり、アレです。
アニメとかでよくあるじゃないですか。実力は無いけど、戦略や戦術で大物を食っていく主人公の話。
私は強いて言えばソッチ系でしょうな、と。
なのでいわゆる「弱ペダ」に感化されてロードレーサー買ってみました、という女の子とは違うのです。何しろ理論はバッチリなんですから。
思い立ったが吉日。
決行は次の休日に決めました。ちょうど三連休ですし、土曜日か日曜日に決行すれば、ボロボロになっても一日休養日に当てられます。翌週の仕事に支障を来すとしても、影響は最小限に食い止めることが可能でしょう。
これを一ヶ月先の〜、とか言ってると決心が鈍ります。というか季節的な問題がありますからね。これからどんどん寒くなりますから当日になって「やっぱ寒いから体に悪いのでヤメ」という理論武装でDNSする自分の姿がはっきりと見えます。
それを回避する為にも、ここは一つ自分を追い込んでおく必要があると感じた私は、「同行者」公募? しました。
ネットで。(・∀・)
SNS(私が唯一利用しているのはG+というマイナーで、かつ緩〜いSNS。というかSNSという認識はあんまりしていないんですけどね)で。
まあ、色々条件を付けた呼びかけなのと、「今度の休み」的な急な話なので誰も手を挙げないだろうなあ、と思っていたら奇特な人が一人、まんまと罠にかかり……じゃなくて参加してくれるというじゃありませんか!
もちろんあった事も話したことも、ましてや文字でのやりとりもいっさいない、未知の方でございました。
見ず知らずの人と、アワイチというけっこう苛酷な修行? をするというのはネット社会ならではの体験だなあ、としみじみ思う私でした。
お互いの都合を聞いて、決行は日曜日、つまり10/11(日)に決定。
私は自分の貧脚を客観的に把握しておりますので、走行時間をできるだけ長く取るべく現地出発を6時(朝の6時っすよ、念のため)という事にしました。
集合場所は淡路島側。
同行者(以下Y君)が早め(というか前夜)に淡路島入りをしておきたい、ついては有料駐車場が併設されていて、車中泊可能な「道の駅東浦ターミナルパーク」を利用するというので、「だったらスタート&ゴールはそこで」ということに決定。
アワイチのスタート&ゴールは明石港からフェリーで繋がる「岩屋港」になるのが一般的ですが、明石海峡大橋を渡れる(自転車は不可)クルマの場合、ドライブ&ライドが可能ですから、その場合は当然スタート&ゴールは都合の良い場所に設定が可能です。
明石港〜淡路島岩屋港までのフェリーは「ジェノバライン」と呼ばれる高速船で、わずか十数分で明石海峡を渡ってしまう、つまりはお手軽な交通手段なので、本州側のサイクリストの多くはこのジェノバラインを利用してアワイチを楽しむわけです。
が、しかし。
このジェノバライン、始発が6:00。
6時15分に岩屋について走り出したとして、Y君のいる東浦までの約8kmを30分くらいで走って、合流して、ちょっとした打ち合わせをしたりすると東浦で7時過ぎになる可能性もあります。
この時期、日の出の問題より日の入りの方が深刻です。
つまりできるだけ太陽の日があるうちにゴールしたかった事もあり、6時前に合流して6時にはスタートを切れる手段をとったというわけです。
まあ、赤い海峡大橋の通行料なんてしれてますからね。自転車を含めたフェリー代より少し高いくらい。
でもその自由度は∞ですから、ドライブ&ライドがやっぱり楽ちんだと思われます。
ということで、道連れができた淡路島一周150kmのロングライドが、あっと言う間に決まってしまったのでした。
さて、問題は当日の天気でした。
週間予報を見るとビミョウです。
一般的な気象庁系の発表だと40%〜30%をウロウロ。
大してウェザーニュースは60%。
私は降雨の場合は中止にした方がいいイベント(ハイキングとかですね)を主宰する時は、全日の12時(正午)に現地の降水確率が40%以上だったら「中止」にする事にしています。
しかし、今回は計画を立ち上げた時点で40%だったので、40%を基準にするとビミョーな気がして悩みました。
で、今回の場合は
1)参加は自分を入れて二人である。
2)ゴールにはクルマという逃げ場所がある
3)淡路島は琵琶湖と違って、途中で降雨に遇ったらショートカットで短縮中断という手段がとれる便利さがある
4)雨対策はしっかりしておく
という特例? を作って
「前日正午の時点で50%以上なら中止。ただしウェザーニュース予報で」
という条件を付加することにしました。
結局前日の土曜日のウェザーニュースの予報は30%。結果としてはおおざっぱな気象庁予報の方が当たっていた事になりますが、まあ結果論です。
「催行決定。あとは現地で判断」
という最終連絡を行い、当日を待つことになりました。
今回は今までで一番装備の選択を入念に行った気がします。理論派ですから毎回理論(独自ですが(・∀・))に則った装備をチョイスしているのですが、そこはそれ、理論に実践が加わって精度が上がっているという感じですね。
で、雨具や替えのグラブなど含めて荷物がそこそこありそうなことと、150kmでどんなダメージがあるのかを体感しておきたい、という理由もあって、メインバッグはヒップバッグではなく、リュックにしました。12リットルのdeuter race Xです。
あとは普段のトップチューブバッグとサドルバッグ。
サイクルボトルは1本としました。
理由は、アワイチの場合、休憩ポイントがどうしてもコンビニになる事が多く、もう一つのボトルケージ用ドリンクはコンビニで水以外のものを買って入れておこうと考えたからです。具体的にはスポーツドリンクですね。
こういう時にペットボトルとサイクルボトル両対応のTOPEAKのボトルケージは便利です。ダテに重くはありません。(・∀・)
さて、当日。
私は4時前に目が覚めました。
4時に目覚ましを掛けておいたのですが、例によって目覚ましに起こされるような私ではないのです。早めに寝ましたし、眠気はゼロ。自慢じゃありませんが私の眠りは良質なので、短時間であっても深くてぐっすり。目覚め良し、の人生を歩んでおります。
しかし。
私は起きてすぐに嫌な音に気付きました。
外を確認すると雨。
しかもかなりの大雨状態です。
「え?」
さっそくMacを立ち上げて雨具もレーダーをチェックすると、確かに今まさに雨雲が大阪北部を覆っていて、所々強く降っている模様です。
が。
淡路島の上空には雨雲がありません。
改めて天気予報を確認すると、前日から変わらず降水確率は30%。
気温もこの時期としてはそこそこ上がるようで、夕方前の15時には晴天になるそうな。
なるほどそういう事か、と安心した私は、顔を洗って前日に準備していたウェア類に着替え、忘れ物がないかの最終チェックを行って、簡単に食べられる朝食代わりの食料と飲み物をトートバッグに突っ込んでクルマの人となりました。
出発は4時半。
吹田ICから高速に乗ると西宮名塩SAでクルマを駐めて朝食をとりました。
現地について摂っていると、食べた後すぐの出発になってしまい、エネルギーに変わる前に走り出すことになります。
消化のいい食べ物であったとしても、最低でも30分以上前には食べておく方が好ましいので、出発直前ではありますが、SAにて済ませました。
「いや、だったら家で食べてから出ればいいじゃん」
とお思いでしょうが、家で食べると、なんというか落ち着いた気分でのんびり食べてしまうんですよね。性格の問題です。
というか、家だとなんというか簡単な食事じゃなくて、ちゃんと食べておこうなんて思っちゃうんですよ。
付け加えるならば、高速道路に乗って、事故とか渋滞とかそういうのがクリアになっているのを確認した後でないと安心できないという気持もありました。
食事に時間がかかる私にしては珍しく、5分程度で朝食を終えると、あとは順調にそのまま道続きで赤い海峡大橋を渡り、5時半過ぎには待ち合わせの「道の駅東浦ターミナルパーク」に到着しておりました。
まずは念のために、トイレに行って用を足し、のんびりとバイクを組み立てて、着替えを済ませます。
着替えと言っても下はそのまま。
ちなみにロングのレーシングパンツ(もちろんお尻パッド入り)とサイクルソックス。その上から自転車用の短パンを履きました。
私は基本的に夏でも夜のライド以外は上下ともフルカバーしたい人間なので半袖とかショートパンツの選択肢はありません。
上はちょっと悩んだんですが、化繊のTシャツの上にロングスリーブのジャージにしました。
現地について外に出ると、けっこう肌寒かったので、その上からウインドブレーカーを羽織り、グラブもフルカバーのものをチョイスしました。
リュックを背負って、クルマをロックして、相棒を探します。
車種と色は教えてもらっていたので、すぐに見つける事ができました。
というか、まさにトランクをあけてバイクを組み立て調整中だったので探すまでもありませんでした。
初対面同士なのでまずは挨拶。
そして天候の話題。この場合は取りあえずの話題ではなく、切実な問題ですから当然の話題です。
今回のアワイチの相棒となるY君は、笑顔が可愛い(といっては失礼ですが、まあ敢えて正直な感想を(・∀・))好青年。
私より少し背が高く、やせ形。見るからに登り坂に強そうです。
「貧脚なので」なんて書いてましたが、その言葉がウソである事をこの時点で私は確信しましたね。というか本気で本人がそうおもっているのであればY君に於ける貧脚の定義が間違っているという事です。
私の定義が正しい。(・∀・)
貧脚というのは私の様なサイクリストの事をいうのだよ。
まあ、私の貧脚振りはおいといて、Y君は若い。何しろ年齢は私と二回り以上も違います。
まあ、有り体に言ってみれば息子のような年齢のワカモノなわけですよ。
いや、この時点で楽しみ倍増です。ロージン二人よりよほど安心感がある。(・∀・)
いや、「楽しみ」というより頼もしいですよね、若い人って。
もっとも本人は「若者」なんて呼ばれる歳でもないなあ、なんて思っているのかもしれませんがそういうモノです。
Y君の愛車は観音誰(かんのんだれ=cannondale)のCAAD10(キャードてん)という超人気車種。去年の11月に買って、まだ1年経っていない美品です。
というか、私のライドの相棒は親友AのSynapseといい、カンノンダレばっかりかい!(・∀・)
妙に縁があるな、カンノンダレ!
そして同じ地図を持って、簡単なブリーフィングの後、「んじゃ行きますか」ということで、まだ暗い淡路島周回路へ漕ぎ出す我々でございました。
時に午前6時少し前。
目的を同じくするアメ車と西車の即席チームは、まずは私を先頭に南へと走り出しました。
いつも思うのですが、その日最初の走り出しって、ペースがどうにも掴めません。
いつもの「その辺ライド」の場合、あまり速度はかんがえてなくて、ガーミンに表示される心拍数を維持するギア(回転)重視で走っているからです。
まあ、エクササイズですからね。
でも今回は「距離」という目標値があります。
一周約150kmですから、走り出した瞬間から「あと○○km」というようなモードに変化しちゃっているわけです。
具体的には「速く走る方が、早く残距離を0にできる」というアタマですね。
「最初は押さえて、体が温まってきてから少しパワーを上げる(速度を出す)」という理論はわかっていても、では今現在、「押さえた」ウォーミングアップ的な速度ってどれ? という疑問に出くわすわけです。
で、結局「しんどくはない程度の、あまり遅くない速度」というあやふやな速度で走り出しました。
具体的に20〜25km/hくらいです。
向かい風でさえなければ、さすがの私もそれくらいの速度はなんとか維持出来るのです。
向かい風でさえなければ。
あと、上り勾配がなければ。
私の生態センサは非常に精密でよくできておりまして、ほんの少しの上り勾配も見逃しません。(・∀・)
要するに「25km/hで走っていても、ちょっとでも勾配が上り基調になると、とたんに速度が落ちる」んですよね。
まあ、なので25km/hが目標だけど、抵抗があったら20km/hくらいに下がるという感じです。
そんなこんなで取りあえず走り出した私ですが、30分もたたないうちに「しでかした」事に気付きました。
ウインドブレーカーとフルフィンガーの手袋が「暑い」んです。
というか、もう汗ダラダラです。
気温自体はガーミン表記では16度。
暑いわけではありませんが、そこはソレ、スポーツしているわけなので。
で、自分で予想していたよりウインドブレーカーはスポーツしながら着るには「暑かった」という事でした。
私のウインドブレーカーは10℃を切るくらいから本気を出す仕様のようです。
当初、最初の休憩地は「最後のコンビニ」、すなわち洲本市を通り過ぎて少し南に下ったあたり、具体的な「ファミリーマートサントピアマリーナ店」まで一気に25kmほど走ろうと思っていたのですが、たまらず服を脱ぐために小休止。
ウインドブレーカーを脱いで、グラブも指切りのサマータイプに変更して、リ・スタートです。
後から考えると、この「暑さ」で序盤にややヘバってし待っていたようです。
気を取り直して似たようなペースで洲本市を過ぎ、予定の「最後のコンビニ」に到着しました。
私の思惑では、このコンビニまでは「ジェノバライン組」つまり6時15分頃に出発する健脚組より先に到着するハズでしたが、その通りになりました。
つまり途中我々を抜くサイクリストはおらず、ジェノバライン組よりは早く「最後のコンビニ」に辿り着いた事になります。
案の定、サイクルラックはスッカラカン。我々が最初のサイクリストであるかのようです。本当の所はわかりませんが、一番乗り気分は味わえました。
なんでジェノバライン組より先に着きたかったのかというと、下調べした際「最後のコンビニなので、多くのサイクリストがここで補給を摂る」との事でした。コンビニとしては珍しく、サイクルラックだけでなく店先にはパラソル付きのテーブルセットがいくつもあるそうです。
そう。つまり
1)サイクルラックが満杯じゃない方がいい
2)テーブル席で椅子に座って休憩したい
3)混雑した店内で長い列に並びたくない
という思惑があったのでした。
これはまさにドンピシャで、我々が適当に用足しや補給物を買い(必要が無くても場所を使わせてもらっているので何かを買うのがエチケットだと思います)、空いたテーブルで待ったりとネコを眺めて「そろそろ速めのジェノバライン組が……」なんて言っていると4,5人のチームがやってきました。その後もパラパラと。
まさに予測通り。
いや、もちろん本当にジェノバライン組かどうかは全くわかりませんが、作戦通り、と悦に入るくらいいいじゃないですか。(・∀・)
ここのネコちゃんが実に可愛くてお利口さんだったので、予定以上に長居してしまいました。
入り口のよこにちょこんとたっておこぼれ(エサ)を狙っているのですが、店の中には絶対入りません。
見かけはブスっとしていますが、声をかけると目を細めて愛想良く返事をしてくれますし、頭を撫でると甘える仕草をします。
ネコ派の私としては「タマリマセン」っすよ、全く。(・∀・)
危うく「もうここで一日コイツとまったりすごしてもいいや。リタイアしよう」なんて気になりましたが、そこはそれ、まだ30kmも走ってませんし、一応気力が残っているので「んじゃ行きますか」と軽やかに立ち上がるわけですよ。
結局25分も休憩してました。
小休止ならぬ大休止ですね。
東浦から洲本市街地までは早朝なのにそこそこの交通量があり、市街地を抜ける道も多くて信号もそれなりにありましたが、洲本を抜けてからはもう「信号って何?」状態。
視界には道路と岸壁と海、そして灰色の空があるだけです。
そう。
ここから本格的な「アワイチらしい」ステージの始まり、というわけです。
何しろこの先には大まかに数えて4つの峠が待ち構えているのです。
南淡路はまさに「アワイチ」のハイライトとも言うべき地域と言っていいでしょう。
そして私にとっては憂鬱の種です。
何伊勢よ全ての登り坂が私の敵ですからね。
最初の峠は、実は獲得票港としては最高の峠でもあります。ある意味最初にあたるのがラスボスみたいな?
出発して約35km地点から「それ」は始まりました。
ソレ、というのは上りのことです、念のため。
もっともどこを見ても「平坦」なんて書かれているそこまでの道のりでも上り下りは立派にあるんですよ。あんなに起伏があるのに平坦だといい貼る人とは「平坦」という言葉の持つ意味をちょっと、いやじっくり議論してみたいところです。
まあ、なのでここでは最初の「本格的な上り」という表現にしておきましょう。
ちょっとした下りはありますが、最初のピークまではざっと3kmの上り。
手元のGARMINの傾斜計をチェックしていたのですが、14%くらいがありました。
平均的に8%だそうです。
で、最高地点へはいったん下ってまた上る事になります。これが効くんですよね、足にもハートにも。潔く上って、あとは下るだけ、という事にしてもらえませんかね。
で、2つめのピークは標高108メートルからアワイチで最も高い標高である173メートルまでの100mを2.1kmかけて上る坂道でした。
まあ、ここで基本的に私のフトモモは終わりました。(・∀・)
我ながら早っ。
で、2つめのピークを目指すアタリでY君が私の後に付くのを止めて、自らのペースで上りはじめました。
「モンキーセンターで落ち合いましょう」ということでお互いマイペースの別行動です。
いや、マジな話ですが、平地は遅い人に合わせられても、登り坂って、たぶんマイペースで上らないとかえってしんどいと思います。
昔やってた軽登山なんかでもそうでした。
まだ体力が有り余っていたコロの話ですが、自分のペースが確立しちゃってて、初心者に併せてのんびり上っているとかえって辛くなるんですよね。まあ、ゆっくりと登る登り方がわかっていないハンパなハイカーだっただけなのでしょうけど。
さてこの上り道の途中には「なぞのパラダイス」と自ら看板を掲げるいかがわしいいわゆる「秘宝館」がありました。もちろん寄ってません。朝もまだ早かったので空いてなかったでしょうし、そもそも行くか、そんなところ、という感じ?
秘宝館を当然のようにスルーし、2つめのピークを越え、下りのワインディングを楽しんだ先に「一休みポイント」のモンキーパークがありました。
ここは飲み物の自動販売機があるので、もしも峠で使い切っていたら、次の峠に備えた水分補給は可能です。
私は「最後のコンビニ」で仕入れていたドリンクがありますので写真を撮っり、女子大生? 女子高生? くらいの二人組の女の子に声をかけられて(Y君が)写真を撮ってあげたりしただけで出発しました。
とはいえ、9分くらいは休憩していたようです。まあ、小休止の範疇でしょう。
二つ目の峠は出発して57km地点から。
ピークは103mくらいですが、グイっと登るので勾配がきつく、手元のGARMINを見ると最大で17%くらいを表示してます。
ここでは押して歩いているサイクリストもいました。
「登り坂はアカンのですわー」
「超わかりますわ−」
などと、会話しながらペダルを踏む私。
ええ、それくらいの速度でしか登れないんですよ。(´д`)
フロント34、リア32Tをもってしても「軽いギアでクルクル回せば速度は遅いけど楽に上れます」なんて言ってるヤツ、表に出ろ!ヽ(*`Д´)ノ
その「軽いギア」を必至で踏まないと進まない人もいるんですよ!。
自転車押している人と世間話が出来るような速度がやっとの人がいるんですよ!。ここに!
距離自体は短く、色々キレる前になんとか頂上に辿り着きました。
Y君はここで私を待っていてくれましたが、けっこうな時間待たせたに違いありません。
ここでは「もうやってられない感」を醸し出す写真などを撮ってみたりしました。
ええ、なんだかんだいってヘバってますがまだそういうアホな事をする余裕は残っておりました。
ここまで60km。中間地点であり、昼食して大休止する予定の福良港まであと10km。
しかし、福良でのんびりする為にはもう一つ峠を越えないとイケマセン。
でも、気分的にはちょっと楽です。
4つある峠地帯? を2つ制覇していますので半分来た感がありますし、「あと一つ登れば昼休み」というニンジンがあります。
フトモモが既にパンパンになっていますが、34×32Tをまだ何とか踏めそうです。つまり感覚的に「まだ攣る感じはない」状態でした。
そして3つめ。67km地点から始まりました。
というか、今振り返るとここが一番しんどかったように思います。
勾配も私が見た限りでは15%を表示してるところがありました。
それでもなんとか頂上に辿り着き、Y君と合流。そのまま福良へ向けて下っていったのでした。
出発してから71.5km程。時刻は10時30分ごらに福良の市街地、久しぶりの信号機で止まります。
福良での食事は3つほど目星を付けておきました。
第一候補「鼓亭」のうどん。
熱いうどんとかけっこうありがたいんですよね。
地図を下読みしていたおかげで店はすぐに見つけて「やれやれどっこいしょ」とばかりに自転車置き場でサドルから下りた私にY君が衝撃の一言。
「開店は11時みたいっすね。どうします?」
なんですとー!?
しまった。開店時間をチェックしておくのを忘れていたじゃん。
我ながら詰めが甘いよね。
というか、実の所こんなに早く福良にたどり着けるとは思っていなかったので開店時間なんて心配する頭が全く無かったというのが本当の所です。
12時まで、できれば11時45分頃までにたどり着ければいいかな、と思っていたのですよ。
1時間以上も早くたどり着くなんて。(・∀・)
ハイペース過ぎる!(注:あくまでも私にしては、です)
気を取り直して第二候補に。
ここは「コテコテ系だけど、どうする?」とちょっと二人して昼飯屋の相談をした時に引いていた店だったのですが「まあ、軽めのメニューもあるでしょ」という根拠のない理由を盾に入店したのですが……。
「喫茶ママン」
マジ、パねえっす。(>_<)
揚げ物! 肉! 大盛りが正儀! 飯は基本が二人前!
みたいな、いわゆるガッツリこってり系。欠食児童のユートピアみたいなお店でございました。
メニューの写真撮っておけば良かったな、と思うくらい、メニューが豊富。ものすごい数のメニューですが、こってりガッツリ系とは縁が無く、ヘバっていて胃腸が油ものや揚げ物に対して拒否反応を起こしているような状態では全てのメニューが一緒に見えます。
しばらく懊悩した我々は、結局「ここではとんかつを食べるのがマナーに違いない」と判断し、各々ネギカツ丼とカツカレーを注文したのでした。
因みにカツカレーを頼んだのは私です。
ライドの最中の食事に揚げ物とかカレーとかアリエナイと思っている私ですが、「ここは敢えて」と注文したその理由とは?
1)既に述べたように、その店では淡路ブタ?のトンカツが名物である。せっかくきたのだからソレを食べるべき。
2)胃腸が弱っている時はアレだ。カレーとかでカツを入れて叩き起こせば調子が良くなるに違いない
で、出来てきたカレーを見て降参しました。
量がハンパない。
カツ、デカっ。
つか、なんでカレーライスにフレンチフライが「載っかって」るの?
こみ上げるものを呑み込みつつ、食べましたよ、ええ。
一見豪快なカツカレーですが、よく見ると店主の繊細な気遣いが感じられました。
カツが予め一口大に切られています。一切れ一切れに切ってあるのは普通ですが、横だけでなく縦にも包丁を入れ、食べやすくしてくれているのです。
そしてフレンチフライですが、これは「カレーにじゃがいもを入れるのは邪道だ!」という私の様なアンチじゃがいも@カレー教団の人間の事を気にかけてくれているのです。同時に「カレーにはじゃがいもが入ってないとね」という理解出来ない異教徒の為に、じゃがいも的なものをちゃんと入れてある、と。
味は……。
まあ、味なんて好みですが、私の好みを基準に言わせていただくと、しょっぱいカレーでした。全然辛くはなく、辛いカレーが好きな私にとっては物足りないけど塩っ辛い、系、つまり苦手な味でございました。
結局カツとカレールーの一部しか食べることが出来ず、ご飯とフレンチフライはほぼ全部残してしまいました。
もったいないことをしてホントごめんなさい、と謝る私に「これから走るのにセーブしないとね」なんて優しく答えて下さったママに感謝。
Y君は「これはアカン。アカンボリュームですわ」と言いつつも若さ故の過ち? を怖れず、完食。
すげえ! まぶしいぜ、若さ! その無謀さを私はいつ忘れてしまったのだろう……などと感慨に耽るのでありました。
お腹がいっぱいになったので、後半に続く。