「サンセットライン」とはよく言ったもので、ジェノバラインを使って明石から岩屋入りしたサイクリストの多くは(当然脚力や季節にも寄りますが)ほぼ間違いなく夕方にこの「淡路サンセットライン」を北上する事になり、天気が良ければ瀬戸内海に沈む夕陽を浴びながら走る事になるに違いありません。
で。
都志のコンビニ、ファミリマートを後にして恐る恐る走り出した私はそのサンセットラインで厳しい現実を知る事になりました。
ええ、ンなすぐに痛みが消えるわけがございませんのですよ。
左足にパワーをかけるとけっこうな痛みが膝の外側に来ます。
当然ながら速度を出す=ケイデンスを上げる事は出来ません。
なので痛みを紛らせるために関係ない事を考えて集中(?)しようとしましたが、結局考えていたのは膝の痛みの事ばかりでした。
「えっと、膝の前部分が痛くなるのはサドルが低すぎるからで、膝の後ろが痛くなるのはサドルが高すぎるからだったっけ」
「膝の内側や外側が痛くなるのは確かO脚とかX脚とかがに股とかだったよな。で、今回みたいな外側はどっちだっけ?」
などと意識を膝の痛みから遠ざけつつ? ペダルを回していたのです。
そんなこんなで少し経ったころ、たぶん桃川にさしかかる前くらいだったと思いますが、ついに来ました。
「これ以上走るのはちょっとムリかも」という状態です。
やっぱり悪化してまんがな!(´д`)
後方確認後、安全だと思われるとある店舗の駐車場を見つけた私は、後ろのツマにハンドサインで合図を出して止まり、この時点でようやく状況を説明しました。
まあ、本来は隠す必要も無い事なんですがね。
別に私はこういう事で見栄を張る性格ではありませんし、かと言って「体が痛いアピール=だから遅くても仕方ないでしょ」的な予防線を張る性格でもないわけですし。
ではなぜ隠せるならそのままゴールしたかったかというと、もちろんそれなりに理由があります。
「だったらここでゆっくり休んでて。その間に私が(洲本まで行って)クルマをピックアップしてくるから」
コレです。
予想通りの反応です。
これが逆の場合、私でもそう反応しますからね。長い付き合いですからツマはそう言うだろうとわかっておりました。
そんなことされると今度はこっちが心配ですからね。本人は意識しないでしょうけど、必要以上に速度を出したりしちゃうでしょうし、ライドも後半ですからそれなりに疲れてもいるでしょうし、そんな状態で気が急くと注意力の定価に繋がるわけで。
要するにツマが途中で事故に遭ったりしないかと心配でなりません。
別に数時間待つくらいはなんともないのですよ。でもその間心配し続けるのがちょっと耐えられないわけで。
なので私としてはそれは避けたい提案でした。
もっと安全で速く、かつ確実な方法もあります。
ここでタクシーを呼んで同居人が洲本まで行ってクルマをピックアップして戻ってくるというチョイスです。
コンビニに自転車を放置するわけにもいきませんから、負傷者? である私が自転車の番として残るわけですね。
でも、できれば同居人にとって「自転車ではじめての100km走破」を体験して欲しいところなんです。
今回のもともとの目的がそれですからね。なのでわざわざ100km越えのルートを描いたわけで。
「痛いけど、さっきのコンビニでも少し休めば痛みは和らいだので、まったく走れないってほどではない」
「右足だけでペダルを回すので、巡航速度は遅くはなるけど、もう残りは25kmほどだし、それくらいなら何とかなると思う」
「本当にダメになったら正直に言うから、その時にまた考えよう」
的な会話をし、言葉通り少し休んだおかげで右膝の痛みが治まったので走り出す事にしました。
それから先は文字通りほとんど左足には力を入れず、それまでよりも本格的に右足主体のペダリングに移行しました。
これが出来るのがバインディング(ビンディング)・システムの利点です。
フラットペダルだとこうはいきませんね。ちょっとした名人技が必要になるところでしょう。
いや、私にはどういう名人技があれば可能なのかわかりませんが。
ともあれ「左足は添えるだけ」走法で、再びアワイチルートを走り出しました。
淡路サンセットラインとは郡家でお別れです。その後は郡家の交差点を右折して淡路島横断ルートに入り、洲本のある東海岸へと向かいます。
このルート上には「たこせんべいの里」という人気観光地があるのですが、ちょっと寄ってく? 的な余裕はありませんでした。左膝がまともじゃ無いのでひょこひょこしながら歩くわけですが、歩く行為自体がちょっと痛いんですよね。
このルートを引く時には色々考えて郡家で右折するルートをチョイスしました。
そしてそのルートを実走した私はしみじみとこう思っておりました。「あの時の自分を褒めて上げたい」と。
何しろこの横断ルートは「平坦基調」で選んだものですから。(・∀・)
淡路島を横断しようとする場合、多くのルートで背骨にあたる山間部を越える必要があります。でも郡家まで北上すると平野部で東西が繋がっていて、楽ができるのです。
疲労した後半にきつい峠があるとちょっと辛いですからね。
今回は体力の限界に挑む的なチャレンジ目的ではなくて、ツマ的には9月のホノルル・センチュリー・ライド160km完走の練習としての「初めての100km超体験」が目的です。なので後半で足がつったりして落車する、なんて事は極力避けたいわけで、そういうルートを引いたのでした。
まあ、ツマの事を考えて引いたルートが、実は自分自身の役に立ったということです。
結局、残りの距離が短かった事もあって、右足オンリー走法で無事に完走できました。
走り出した後は、特に休憩もとる必要も無く、ゴール地点の洲本市街地まで思ったよりも楽に走りきることができました。
できるだけケイデンスを減らしたかったので重いギヤを踏んだのですが、今回は全体的に「ムリせず完走」というペースだったこともあって、後半での体力や筋力の落ち込みがさほどなかったのが良かったのでしょう。
通常ならそんな走り方をすれば右足に負担がかかるのは明らかです。なので右足に違和感が出たらすぐにギアを軽くするぜ、とセンサ? を研ぎ澄まして走っていましたが、最後まで重めのギアで問題ありませんでした。
偉いぞ、私の右。
ということで、スタート地点の洲本市街に辿り着く事ができました。
ルートナビ的にもGARMIN EDGE 1000のレコード的にも107kmちょっとでした。
ツマも100kmを越えたことに多少なりとも感動したようで上機嫌でしたし、何よりロングライドを走る事に対しての自信に繋がったに違いありません。ホノルル・センチュリー・ライド160kmを走りきるイメージが多少なりともつかめたら良いのですが。
というか、問題は私の方ですよねー。(´д`)
しかし、膝の痛みはアレですね。
バイクを降りて体重を掛けると「カクン」と崩れそうになるくらい、力が入らない。
というか、痛みのせいで体がそれ以上膝を突っ張るのを拒否する為にそこで崩れるという感じ。
クルマの運転については我が家はツインドライバー。つまりツマでも私でもどちらでもOKなので帰路の心配はしておりませんでしたが、それでも私にとっても100km以上の距離を走るのはそう何度も経験しているわけではありませんから、今回のアワイチでも途中リタイヤせずに帰ってこられたことはいい経験になりました。
というわけで、撤収作業風景でございます。